成熟産業においても成長は可能―鳥越淳司著『「ザクとうふ」の哲学』

最近読んだ、鳥越淳司著『「ザクとうふ」の哲学』について。

ザクというのは、TVアニメ「機動戦士ガンダム」に登場する敵機で、それを型どった豆腐が「ザクとうふ」。福岡ではこの豆腐を扱っている店舗が少ないのですが、実は発売1ヶ月で100万個売れ、今でも売れ続けている大ヒット商品です。

この豆腐を開発したのが、群馬に本拠を置く豆腐メーカー・相模屋食料株式会社で、その代表取締役がこの本の著者・鳥越淳司氏です。

一見、「人気アニメとコラボしてヒット商品を生んだ」ような話だと思われるかもしれませんが、そうではありません。

そもそもザク自体、ガンダムと比べたら知名度に欠ける機体です。根っからのガンダム・ファンの鳥越氏は、〝作品のなかでただ一機しか出てこないガンダムを豆腐にして大量に並べたら、ファン心理としては違和感がある。しかし量産型のザクなら、数が揃うことで強さを発揮する機体だから、たくさんあるほどカッコ良い。〟という考えで、ザクにしたそうです。そう考えると商品の「世界観」をしっかり持つことがいかに重要かわかります。

しかし、このザクとうふのエピソードはこの本の序章にしか過ぎません。読み進めるにつれ、鳥越氏が豆腐業界という超成熟産業のなかでいかに生き残っていくか真剣に考え、そして実践していったかがリアルに伝わってきます。

この本から印象に残ったフレーズをいくつか拾ってみました。

たとえガンダムの版権を持つ企業に行っても、きっと「ご提案は大変嬉しいのですが」と追い返されてしまうでしょう。(中略)しかし私には唯一の武器がありました。「傷つくことが怖くない」

きっと事業には『器』がある。これを創りださなきゃ、生き残れない。(中略)そして私の目には、おとうふ屋さんはどの「器」を選んでも無理、と見えたのです。少なくとも既存の「器」には商機はない。事業環境として、もうどうやっても利益が出せないのです。

四六時中生き残る方法を考え、必要とあれば髪を振り乱して何かを実現する覚悟があれば、どの業界でも、そこそこ、生きていけるはずです。そして私にはその「覚悟」がありました。

私は考えました。ちゃんと利益が出せる何かに徹底的にこだわると決める。そして「自分の城」ともいえる領域の中では圧倒的な存在感を持って、他を寄せつけない。他社さんがやっている領域に手を出し、細かい利益を拾うことなどにムダな労力は割かない。

そしてこの本で私に一番印象に残ったのはこの言葉です。「自分が広げられる地図より、もうちょっとだけ大きい地図を広げてみると、ビジネスが楽しくなります。」

この本にはいろんなエピソードが出てきますが、どれも臨場感があり一気に読み進められます。豆腐のような成熟産業においてもアイデアと情熱があれば活路は必ず見いだせるということが実感できる一冊です。

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