獺(カワウソ)の祭と書いて「獺祭(だっさい)」。何とも変わった名前の日本酒があります。獺祭の言葉の意味は、獺が捕らえた魚を岸に並べてまるで祭りをするようにみえるところから、詩や文をつくる時多くの参考資料等を広げちらす事をさします。そして獺祭の酒蔵がある場所が「獺越」という地名であることも由来の1つだとか。

実はこの獺祭、純米大吟醸ジャンルでは、2013年の出荷数量1万1400石(日本酒は1升瓶100本で1石)と国内トップ。今や世界約20ヵ国で販売されているそうです。

獺祭を製造しているのは、山口県岩国市にある旭酒造という酒蔵です。大手の酒蔵だと複数の銘柄を製造するところが多いですが、この旭酒造はこの獺祭のみ。しかも旭酒造がある場所は岩国市のなかでも更に山奥の過疎地。それが今やパリに出店するほど日本酒を代表するブランドになろうとしています。

そしてそれらすべて三代目社長・桜井博志氏によって実現したことばかり。果たしてどのような意志や戦略によって成し遂げたのかを綴ったのが、桜井博志著『逆境経営』です。

一番印象に残ったのは、それまでの旭酒造での日本酒造りのやり方を棄て、純米大吟醸のみに絞った決断についてです。この本ではこのように描かれています。

私が社長になったころの旭酒造にとって、酒蔵商売の〝正攻法〟とは、一生懸命に酒屋さんを回って人間関係を築き、酒を売ってもらうことにありました。(中略)とにかく「ある(できている)酒を売る」のが基本スタンスで、「よい酒を造る」という視点は皆無でした。(中略)うちが、そこまで無理をして普通酒を造り続けて、本当に社会的に価値があるのか?その点、小規模な仕込みでないと高品質が保ちにくい大吟醸なら、小さな酒蔵であることを逆に強みにできる。(中略)企業である限り社会に貢献しなければ存続する価値はない。私は、大吟醸造りに挑戦することにしました。

ちょうどバブルの真っ只中に、、ワイン酵母を使用した純米吟醸酒を造ったことがありました。(中略)当時の私たちにとってありがたかったのは、珍しいものを造ったために、新聞やテレビなどマスコミ各社が取り上げてくれたことです。(中略)余勢を駆って、広島市内で発表会をしました。(中略)だけど、その天狗の鼻をペシャンコにするひと言を、会場でいただいたのです。「このワイン酵母のお酒が美味しいって言うけど、2000円でしょ。2000円のワインより美味しいの?」(中略)この女性が言いたかったのは、「日本酒はあくまで日本酒らしく、ワインみたいな日本酒を造っても、ワインには勝てません」「やるなら、小手先勝負ではなく、本道で勝負してよ」ということだったろうと思います。

その後、旭酒造にはいろんな苦難に襲われるのですが、その逆境を乗り越えていく桜井社長の姿をみていると、逆境こそは飛躍するためのチャンスではないかと思えてきます。

自社の売上が伸びないのを不況のせいにすることは簡単ですが、アイデアと決断力でいくらでも超えていけるのだ、と思わせる一冊です

逆境経営―山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法

 

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