自社にとって、どんな相手が理想的な顧客なのかを決めている会社は意外と少ないかもしれません。

いろんな業種、いろんな属性の方が自社の商品・サービスを買ってくれることを期待して、広告や営業活動をつい幅広く行ないがちですが、実際にはうまくいきません。

なぜならそうやって届けられたメッセージは薄まっているので、受け取った側が自分宛のメッセージだと思わないからです。

商品やサービスの開発や改善についても同じです。

顧客の声に耳を傾けることは大事なことですが、すべての声に応えてしまうことでその商品やサービスが本来持っている軸がぶれてしまっては、コアな客が離れてしまうかもしれません。

ロバ売り

イソップ寓話にこんな物語があります。

ロバを飼っていた父親と息子がそのロバを売りに行くために市場へ出かけた。二人でロバを引いて歩いていると、それを見た人が「せっかくロバを連れているのに、乗りもせずに歩いているなんてもったいないことだ」と言った。父親はなるほどと思い、息子をロバに乗せて再び歩き出した。

しばらく行くと今度は別の人がこれを見て「自分はロバに乗って楽をして、年老いた親を歩かせるとはなんて怠け者の子供だ!」と非難した。父親は再びなるほどと思い、今度は父親がロバにまたがり、息子がそれを引いて歩いた。

さらに別の者が「小さな子供を歩かせておいて、自分はロバに乗るとはなんて親だ。二人ともロバに乗ればいいだろう」と助言した。それはそうだと、二人でロバにまたがって進み始めた。

町の入り口に差し掛かったとき「二人も乗るなんて、重くてロバが可哀想だとは思わないのか? もっと楽にしてやれよ」と言う者が出てきた。そこで親と息子は、ちょうど狩りの獲物を運ぶように、1本の棒にロバの両足をくくりつけて吊り上げ、二人で担いて町へ入る橋を渡り始めた。しかしその時、きゅうくつな思いを嫌がったロバが暴れだし、そのまま橋の上から川に落ちて流されてしまった。ロバを売ることができなかった親子はガックリと肩を落として家へと帰っていった。

(イソップ物語「ロバ売りの親子」より)

いろんな人がそれぞれの立場で意見を言います。善意もあれば悪意もあるかもしれません。でもそれでぶれてしまっては当初の目標を達成するのは困難です。信念を持ってやり抜きましょう。

ポイント

目的を達成するためには、人の意見に左右されない信念も大事。