私が雑誌編集者だった1998年頃の話です。
幹部Oさんと屋台でお酒を飲みながら、仕事の話になりました。Oさんはずっと営業畑を歩んでこられた方でしたが、私には営業経験がまったくありませんでした。しかもふだん読む本もビジネス書の類は一切読んでおらず、小説やドキュメンタリーばかり。Oさんが会社の戦略やマネジメントの話をしても、「ハァ、そうですか」という相槌を打つくらいのリアクションしかできませんでした。Oさんが最後に「園田も、せめてドラッカーくらい読んでおかんとね…」とボソッと呟いてその会はお開きになりました。私がドラッカーの名前を聞いたのは、その屋台での会話が最初でした。
P・F・ドラッカーの『経営者の条件』を買って読んだのは、それからまもなくのことでした。ドラッカーの中で、この本を最初に選んだ理由は覚えていませんが、おそらく当時発売になっていた普及版ドラッカー選書の第一巻がこの本だったからでしょう。1966年発行でドラッカーの経営書の三大古典の1つですが、今でもまったく色褪せず、仕事に役立つ考え方が満載です。
特に印象に残っているのは「汝の時間を知れ」という題目が付けられた第2章です。少し引用します。
「私の観察では、成果をあげる者は、仕事からはスタートしない。時間から出発する。計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。次に時間を管理すべく、自分の時間に対する非生産的な要求を退ける。そして最後に、そうして得られた自由になる時間をできるだけ大きな単位にまとめる。したがって、次の三段階にわたるプロセスが、成果をあげるための時間管理の基本となる
(1)時間を記録する
(2)時間を管理する
(3)時間をひとまとめにする引用元: 『経営者の条件』
ドラッカーは、「まずは時間を記録せよ」と説いています。私は、起業当初から指導を受けているコンサルの方の勧めで、自分の作業時間を記録する習慣があります。日々、作業に取り掛かる前と後で時刻を記録し、エクセルで集計しています。かれこれ10年近く続けています。一ヵ月を振り返って、来月はもっと○○に時間を投下しようと決めています。
エクセルを使った私の時間管理の方法については、2010年に書いたこちらの記事をご覧ください。
「あわただしい年末ですが、振り返る時間も作りたいですね」