
生成AIは、金の卵を産むガチョウ?
福岡市から行橋市へ引越してきて、早くも2ヶ月が経ちました。田舎暮らしは日々発見の連続です。
最近、生成AIで文章を作成する機会が増えました。ニュースレターのお客様の中には、ご自身の著作をくださって「これを生成AIに読み込ませて、ニュースレターの原稿を作ってみては」と提案してくださる方もいらっしゃいます。確かに、AIは瞬時に文章を生成してくれますし、その精度も日々向上しています。
生成AIを使っていて、ふと思い浮かべる物語があります。それは「金の卵を産むガチョウ」です。毎日金の卵を産んでくれる不思議なガチョウ。欲張った農夫が、一度にたくさんの金を手に入れようとガチョウの腹を裂いてしまい、結局何も得られなくなってしまうという、あの寓話です。
生成AIは、まるで金の卵を産むガチョウのように思えます。質問を投げかければ、すぐに答えが返ってくる。原稿の依頼をすれば、あっという間に文章ができあがる。でも、ちょっと待ってください。本当に金の卵を産んでいるのは、AIなのでしょうか。
私は違う気がします。本当に金の卵を産んでいるのは、私たち人間の経験と洞察です。同じ素材を渡しても、料理人によって全く違う料理ができあがるように、同じAIを使っても、それがどんな仕上がりになるかは人間次第。何を問いかけ、どこに着目し、どんな物語として紡ぐか。これまでの経験が培った〝勘どころ〟こそが、普通の素材を特別な一品に変える秘訣だと思っています。AIは優れた調理器具ですが、味付けの妙までは知りません。
ニュースレター作成代行という仕事も、AIの登場で大きく変わりつつあります。
でも、変わらないものもあります。それは、取材時にさまざまな角度から問いを投げかけることで、経営者自身も気づいていなかった気持ちを言語化できたり、経営者が発した言葉から、その奥に潜む真意を汲み取ったりする能力です。これらは人間ならではの力ではないでしょうか。
金の卵を産むのは、ガチョウではなく私たち自身。AIという便利な道具を手に入れた今だからこそ、そのことを忘れずに、AIと上手に付き合っていきたいです。