最近調べた事で、なるほど!と思ったものがありました。

第二次世界大戦中、連合軍はどうやったら戦闘機を撃墜されずに済むかということに頭を悩ませていました。基地に帰還した戦闘機は、敵の攻撃によって機体のあちこちに穴が空けられていたのです。

機体をどのように補強したらよいかについて、軍はエイブラハム・ウォールドという統計学者にアドバイスを求めました。

ウォールドはさっそく生還した戦闘機の弾痕をすべて記録し、機体のどの箇所が被弾しているかを図に表しました(下の図)。

戦闘機の被弾

この図を見た軍の関係者は、ウォールドに尋ねました。
「そうか!この被弾が多い箇所を補強すれば良いのだな?」
「いいえ、そうではありません。補強すべき箇所は被弾の少ないコックピット周辺と尾翼周辺です。」
「?」
「基地に帰還した戦闘機は、コクピットと尾翼の被弾が少なかった。それは逆から考えると、コクピットと尾翼に被弾した戦闘機は帰還できなかったのだと考えられます。だから補強すべきなのは、コクピットと尾翼です。」

いかがでしょうか? このエピソードにはいくつかポイントがあります。

1つめは、「手元にあるデータは、帰還した戦闘機のデータだけであり、帰還できなかった戦闘機のデータが含まれていない」こと。これは統計学では「選択バイアス」と言うそうです。調査対象をサンプリングする際、ランダムに抽出しないと、分析と結論を間違ってしまうということです。

2つ目のポイントは「失敗から学ぶ」です。私たちはよく成功した事例を聞いて、自分もそれを真似ようと思いますが、実は、失敗した事例からのほうが多くのことを学べるのではないかということです。特に小規模事業者にとっては、生き残っていくことが大事ですので、いかに成功するかということよりも、いかに失敗しないかのほうが有益かもしれません。

S.SonodaS.Sonoda

このエピソードはいろんな場面で語られていますが、最近では、AI開発でも取り上げられているそうです。今のAIは、手元にあるデータを分析することはできても、ウォールドのように帰還していない戦闘機の意味を洞察することができないのだそうです。AIがいろんな仕事を奪うように言われていますが、それはAIが得意な分野のことであり、人間にはまだまだ無限の可能性があるように思います。