
先日、在京のNさんから、地下鉄で見かけたという広告の画像が送られてきました。 ディスプレイに「5! + 4! + 3!」という数式だけが書かれ、その下に「周年を迎えました」と添えられています。数学の「階乗」(注1)を知っていれば、120+24+6で「150」という数字が導き出されます。これは企業が150周年を迎えたことを伝える告知なのですが、単なる記念の挨拶ではありません。Nさんいわく「この数式を見ただけで解き明かしたくなるような、知的好奇心の強い人にだけ、強く印象づける仕掛けになっている」のです。その延長線上には、同じ価値観を持つ人との出会い、つまり「求人」も見据えているのでしょう。
注1)「!」は階乗記号。階乗とは、その数字から1まで階段を降りるように、順番にすべての整数を掛け合わせる計算。例えば、5!は5×4×3×2×1=120です。
ターゲットを極限まで絞り込み、あえて「不親切」にすることで、自社に合う人材を惹きつける。こうしたエッジの効いた手法は、やはり都会ならではの表現かな、と思います。
この話の流れで、私がかつて雑誌編集部にいた頃の記憶が蘇ってきました。ある時、発行人が広告担当者に対して、掲載された広告について厳しい意見をぶつけていたことがありました。その広告は、手作り風で素人感が丸出しのデザイン。発行人は「こんな内容では雑誌の格が下がる」と納得がいかない様子で、こう言い放ちました。「雑誌の質を決めるのは、記事ではなく広告だ」。
当時は「編集者が作る記事こそが主役ではないか」と思っていましたが、今ならその言葉の真意が分かります。その媒体にどのような「広告(メッセージ)」が並んでいるか。それが、その雑誌が守るべき基準や、読者とどのような関係を築きたいのかという「質」そのものを表しているのです。
これはニュースレターにも同じことが言えます。ニュースレターはあなたの会社が発するメッセージです。安易なテンプレートで済ませるのではなく、あえて手間をかけた「生の言葉」を届けること。その姿勢そのものが、読者に「この会社は信頼できる」と感じさせるのです。たとえ不器用でも、自分たちの言葉を尽くすことが、結果として「あなたから買いたい」と言ってもらえるファンづくりの礎となります。
あなたの会社という一冊の「雑誌」を、どのような言葉で綴っていくか。その過程を共に楽しめるパートナーでありたいと思います。